足立巻一『石の星座』に感動する

私がもう観たくない日本のTVながら、かつての長寿番組で近鉄提供の「真珠の小箱」は、日曜日の早朝放映されていて、なかなか生では視聴できなかったけれど、最も好きな番組で、自分もせめて一度出たかったが、その願いもかなわずじまいに終わってしまった。

この番組のプロデューサー、足立巻一(あだち・けんいち)は、すでに物故者ではあるが、著書を残している。その1冊『石の星座』(編集工房ノア、1983年)を読んでいるところ。足立と交流のあった倉橋健一の推奨もあった。

足立巻一 石の星座 1983 cover01.jpg

結論から言えば、『石の星座』は散文の名著だ。すぐには読み切れないほどの密度。それにもかかわらず、文章の歯切れがいいし、裏付けも実にしっかりしている。

倉橋健一に教示されたところによると、足立の祖父は漢学者で、日本全国を孫の巻一を伴って遍歴した。

『石の星座』に収録された、奥熊野の玉置山、播磨の生石神社、倉敷の阿智神社についての論考は、私が実際に訪れた場所でもあり、そのすばらしい考察に感動した。それぞれ日本の古代の重要な結節点。

何かが足立のこの名著を通じて、私に語りかけている、そんな気がした。

また、現在のTVの堕落、現在の物書きの微力化も、この1冊が強く物語っている。

カバーは、画家の須田剋太。スキャンして色が濃く出てしまった。 

 砂漠の石が蛙に詩を歌わせ飛び去った 夏石番矢

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