俳句文芸誌と銘打った「太陽系」第20号入手。
表紙
目次
昭和23年6月25日発行
編集兼発行人 水谷勢二
発行所 太陽系社
大阪市東住吉区平野西之町二四六ノ三
水谷砕壷がスポンサーとなって発行した、モダンな新興俳句系の俳句誌。
しかし掲載俳句は、全般にいまひとつ。
富澤赤黄男の「抒情」も低調。
向日葵の虚空 小びとの跳ねやまず
新興俳句も、自由律俳句ほどの革新性はなかった。
水谷静眉「近代病について」では、高柳重信の次の句の「安値な擬態とポーズ」が批判されている。
わが来し満月
わが見し満月
わが失脚
この若書きのモダニズムは、決して悪くない。
「太陽系」作品投句5句の審査員が、日野草城、富澤赤黄男、横山白虹、水谷砕壷。投句者に、伊丹三樹彦、神生彩史、門田誠一、指宿沙丘、赤尾兜子、楠本憲吉など。
あけたてのつど妻の香や冬襖 伊丹三樹彦
襤褸まづ雪に埋もれしかと思ふ 神生彩史
三日月の女化石のごとく睡る 赤尾兜子
滅ぶ、あゝ堕胎医の掌は薔薇いろに 楠本憲吉
こういう俳句は、楠本憲吉を除いて、高柳重信の句に比べれば、旧態依然。
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