遮光器ではない祖霊の目

実際に観てきた東京・上野の国立博物館「特別展 縄文―1万年の美の鼓動」からの考察。

遮光器土偶とは一体何か? 雪の光避けの遮光器を目に装着した女性をかたどったとする考えはあやまりである。

横一文字に閉じられた目は、死者をあらわす。霊力強く神々と交信できた死んだ偉大な女性シャーマンをあらわした像だろう。

閉じられた目に、「死」の恐ろしさ、崇高さ、異次元性などがこめられている。

青森県つがる市の亀ヶ岡出土の土偶は、顔が閉じた大きな目と編まれた髪だけでできていて、額、鼻、口は省略されている。全体がかつては赤く塗られていた。

死者ながら、偉大な祖霊であり、生命力の大元でもあったろう。乳房、横に張り出した腰が女性であることのあかし。

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  赤い死者大きな空気の壁立てる

  赤い死者閉じた目開けば栗が咲く  夏石番矢


参照
縄文共同体の祭
https://banyaarchives.seesaa.net/article/201808article_27.html

縄文の翡翠
https://banyaarchives.seesaa.net/article/201808article_24.html

退院後はじめて銀座と上野へ
https://banyaarchives.seesaa.net/article/201808article_23.html

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