絶頂期スペイン王室の影

16世紀末から17世紀にかけては、日本では安土桃山から江戸初期、全盛を誇るスペイン帝国とは、盛んな貿易から、一転していわゆる「鎖国」政策によって国交を断絶するにいたる。

上野の国立近代美術館で、

日本スペイン外交関係樹立150周年記念
プラド美術館展
ベラスケスと絵画の栄光

を観た。

印象に残ったのは、肖像画では、フェリペ2世の娘のイザベル・クララ・エウへニアの傲慢さ、フェリペ4世の薄い存在感、カルロス2世のいびつな虚弱さ。

アロンソ・サンチェス・コエーリョ
≪王女イザベル・クララ・エウヘニアとマグダレーナ・ルイス≫
1585-88年
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ディエゴ・ベラスケス
≪狩猟服姿のフェリペ4世≫
1632-34年
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フアン・カレーニョ・デ・ミランダ
≪甲冑姿のカルロス2世≫
1681年
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絶頂期の王室に、すでに衰退の兆候がこの3人の表情に見て取れた。王族ハプスブルグ家の近親結婚が大きな要因らしい。帝国スペインの繁栄とは裏腹の、権力中枢にいる王室の陰翳。

約200年後に日本に開国を迫った列強には、もはやスペインはいなかった。

  猿を抱く小人を撫でて王女よろめく

  腐った肉は甲冑に立ち夕日を浴びる  夏石番矢

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