ソネット形式の俳句は不可能

ハンガリーの詩人ラスロ・シャルコジ氏から、ソネット形式(14行)で、何句か俳句を共作で書かないかという提案があった。

よく考えて、以下の二つの理由で実現できないとの返事をした。


それぞれ母国語で5・7・5音節で書き、その英訳も5・7・5音節になると、シャルコジ氏は想定しているようだが、これはそうならない。私の俳句は、日本語で書くとき、5・7・5音になるときと、そうでないときがあるが、英訳はまずどちらの場合も、5・7・5音節にならない。


最終的に、14行のソネットに俳句をはめ込み、俳句とソネットという異質な詩形式の融合を図りたいのが、シャルコジ氏の狙いだが、これが融合にならず、俳句のソネット形式への嵌め殺しになる。

詩形式の融合は、そう簡単にできるものではない。

また、俳句は、5・7・5音でもなく、3行の意外な展開で、どのように一つの宇宙を生み出すかが、最も大切な原理の短詩なので、14行というソネットの最終的な枠組みは邪魔になる。

シャルコジ氏は、俳句をほんとうには理解していないのではいだろうか? 世界に俳句は広まっていても、その本質的な原理を理解している人は案外少ない。この問題につねに直面する。

日本国内の有季定型信者や自由律模倣者も、俳句の本質を理解していないので、実は問題は国内外とも同じなのである。

  腐った杭を何本打っても岸ではない  夏石番矢
 

参照
ブダペストから判読不明手書き文字
https://banyaarchives.seesaa.net/article/201705article_31.html

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ネパールあて句集序文を書く
Excerpt: ネパールの詩人ラム・クマール・パンデイさんの句集『Flooded Gorge』の原稿が届き、英語による序文を書く。英文の磨き上げを、プロの翻訳家E・Sさんに有料で依頼する。
Weblog: Ban'ya
Tracked: 2017-06-18 14:48