金子美都子『フランス20世紀詩と俳句』出版記念会

2016年4月24日(日)、東京、私学会館市谷アルカディアで、金子美都子『フランス20世紀詩と俳句 ジャポニスムから前衛へ』(平凡社、2015年)出版記念会が開かれ出席した。

金子美都子さんは聖心女子大学名誉教授。東大大学院比較文学比較文化過程の先輩。

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20世紀初頭のフランス詩、美術への仏訳俳句の影響関係を、総合的に丁寧に論じた大著。私も乾昌幸として書いた論文が文中に引用される。さまざまな事柄を、実際に現地、現物にあたって調べたうえでの真摯な研究。語り口もおだやか。

司会の平川祐弘東大名誉教授と開会の辞の芳賀徹東大名誉教授
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ジャポニスムは、美術だけではない、との指摘が心に残る。

夏石番矢のスピーチ
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仏訳された俳句は、季語が季語でなく、575音でもない。むしろ3行無季自由詩。その3行で宇宙を生み出すダイナミズムが世界に広まった俳句の最重要の特徴と述べる。

和歌は、ジュディット・ゴーチエがいい仏訳を出版したが、フランスでは受け入れられなかったのはなぜか? あの程度の5行詩は珍しくなかったからだろう。

世界最短詩だから俳句は優れているのではない。ことばの3本柱(3行)で宇宙を創造する、その魔法のような根源的な創造力がポイントだと主張。

ポール・エリュアールが11の俳句(ハイカイ)を書いた1920年は、ダダイスムの時期ながら、これらの俳句にシュルレアリスムの芽生えがあり、世界の俳句や詩の結節点として、今後クローズアップされるだろうと予測。

私は研究する側から、研究される側に回るために努力してきた。日本の古典俳句だけが海外に影響を与えるのでは困るので、海外の現代詩人を感銘させる最先端の表現としての俳句創作に力を注いできた。

「空飛ぶ法王」俳句のアラビア語訳もでき、近未来出版される。将来、東大大学院比較文学較文化で私のやったことを研究してもらいたいとも述べた。

聖心女子大学金子ゼミのOG
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社会人女性で、上品。金子美都子さんを敬愛する美女たち。

隣席は大学院同期の稲賀繁美国際日本文化研究センター教授
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金子美都子さんの挨拶
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大病を克服されての出版とのこと。

この本の仏訳版出版が必要との、御主人で免疫研究者の金子有太郎さんの希望が実現することを祈る。

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第5回世界俳句セミナー資料2 金子美都子『フランス20世紀詩と俳句』
Excerpt: 4月29日(金・祝)午後3時半~6時開催の、
Weblog: Ban'ya
Tracked: 2016-04-26 20:41