島一木第2句集『都市群像』

見覚えのある筆ペン文字で差出人住所氏名を書いた句集が届く。

島一木『都市群像』(まろうど社、2015年10月31日、本体価格1500円)

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これは大阪・毛馬に住む、元「未定」同人、原正樹の俳号だと直感し、まろうど社主大橋愛由等に確認の電話を入れた。やはりそうだった。

著者とは随分ご無沙汰をした。社会への適応がむずかしい、一途で純情な性格。定職に就いていないようだが、どういう日々を送っているのだろうか?

この人ならではの秀句を抜いて、お礼状に代えたい。


光ゆらゆらお玉杓子ゆらゆら

幼な児の指に蟻みな逃げまどふ

赤とんぼ線路は遠くとほく澄み

踊る輪のひとめぐりしてあの子ゐず

Gパンを脱がず飛びこむ夏の海

小春日の出勤そのまま旅に出る

身にしむや主の貧しさとわが弱さ


わが慶祝句(おめでたい句にはならなかったが)

蕪村の里より風邪の身にしみいる俳句

いつまでも背伸びしている裸の木

貧しさも弱さも呑み込む黒い心臓  夏石番矢

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