紙の本

紙の本は売れない。そうなのだろうか? これまでの数十年がバブルだったのではないか?

たとえば、50年前、新刊は少なく、それだけ1冊が貴重だった。

図書館の書庫の空きスペースがなくなりつつある。増築の予算もない。図書購入費もどこも減額。新刊は歓迎されない。

また、書籍を電子化すればいいというものでもない。

文化と言語の中心は、詩歌。これが日本では曖昧になる。曖昧になれば、出版の意味も薄れる。

いまの出版状況を一本の木に喩える。幹の中心が虫食い。枝もすぐ折れる小枝ばかりで、あまり茂らない。新しい葉っぱも、ほとんど病気。しかもまわりには、寒風が強い。伐採しても、ほとんど役に立たない。

幸いなことに、根っこはまだ生きている。

  歌は紙の上の繭私は風  夏石番矢

この「歌」は、自分自身の俳句を指している。「風」にはいくつかの意味がある。

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