ベトナム俳人と「須磨」談義

2012年2月7日、ハノイのベトナム社会科学アカデミー、ベトナム日本研究交流及び共同事業協力センターで、ハノイ俳句グループの方々と会議を開いた。

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さまざまな質問を受け、その場で答えたが、十分に答えられない質問が一つあった。芭蕉の須磨の俳句についてだった。会場にある日本語の芭蕉句集には、須磨の俳句が掲載されておらず、結局、平家物語との関係を示唆するのにとどめた。

実は、下痢も始まっていたので、疲れも倍加していた。

帰国後、勤務先のM大学の仕事もほぼ終わり、この「須磨」問題を思い出した。

「須磨」という地名が登場する芭蕉俳句は、1688年作の次の5句。


月はあれど留守のようなり須磨の夏

月見ても物は足らずや須磨の夏

須磨の海士の矢先に鳴くや郭公(ほととぎす)

須磨寺や吹かぬ笛聞く木下闇

かたつぶり角振り分けよ須磨明石


須磨は、源氏物語、そして平家物語、謡曲(能)「松風」などに登場し、芭蕉は、これらの日本の古典に登場する須磨と自分が実際訪れた須磨の違いを詠んでいる。

ただし、「須磨寺や吹かぬ笛聞く木下闇」は、明確に平家物語を思い出して作っている。

ちなみに、私の父は、須磨のある神戸市生まれ。私は、幼いころ、須磨の水族館へ行ったときに迷子になったそうだ。須磨は、砂浜、松林、海、そして狭い平地の北には山がある。

以上のようなことを、さきほどメールでハノイへ答えた。

ここからは余談。姫路の動物園でも迷子になったことがあるとも、姉たちから聞いた。

金目銀目の猫に見とれていたらしい。

この性格は、いまでも残っており、1998年のトルコや2010年のイスラエルで、一行からはぐれ、とても面白い体験をした。幸か不幸か、はぐれたままにはならなかったので、日本で苦労しながら生きている。

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