ノーベル文学賞候補の俳句

ノーベル賞の発表の季節。理系の部門、化学賞で、今年も日本人受賞者が出た。まずは、めでたし。

ところで、今年の文学賞に、村上春樹が6位にノミネートされている。トップは、スウェーデンのトマス・トロンメール。

東京大学文学部の「近代特殊講義」(世界の俳句)でも、明治大学法学部の「比較文化」でも、トマス・トロンメールの俳句について触れた。彼は近年、スウェーデン語で俳句ばかり書いている。

夏石は、2003年のマケドニアのストゥルーガ詩祭で、この右半身不随のスウェーデン詩人と会い、ことばを交わした。ヨーロッパの詩人から広く尊敬されている詩人である。彼の左手だけによるピアノ演奏も聞いた。

明治大学法学部の「比較文化」、10月6日の授業で配布した資料を下に。

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生のなかに死を見、生と死の隣合わせを、透徹した視線で見つめる俳句。形而下世界に形而上世界を透視する俳句もある。日本の森澄雄などの、幼稚な感傷をはるかに超えている。

右下に、英字新聞"The Daily Yomiuri"の2010年10月1日付けの記事がある。ここにノーベル文学賞についての英国の組織による予想が書かれている。日本語の新聞では、こういう記事は出ない。「村上春樹、村上春樹」と馬鹿騒ぎするだけ。ちなみに、この英語の記事によれば、村上春樹は、候補者6人中ビリの評価。

さて、どうなるだろうか?

    秋に春を叫ぶ男に釘の雨

    幻聴を楽しむ純白の太陽か君は  夏石番矢

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ノーベル賞受賞詩人との写真
Excerpt: 今年のノーベル文学賞受賞詩人との写真。
Weblog: Ban'ya
Tracked: 2011-10-07 19:42