明大法学部2年14組の中級フランス語の教科書に、『サン=テグジュペリ フランス近代作家選集6』(第三書房、1972年初版、1987年3版、ISBN 4-8086-2331-5、950円)を選んだ。
サン=テグジュペリは、『星の王子様』や『人間の土地』を、かつて中級フランス語の授業で読んだことがある。
4月20日、27日には、『サン=テグジュペリ フランス近代作家選集6』の最初の、『南方郵便機』を読み始めた。受講者は、男女4人ずつの合計8人。
1927年に執筆されたこの小説の出だしには、特別な緊迫感がある。
フランス南西部の都市、トゥルーズの飛行場の、午前5時半のありさまが、短く、暗示的で、磨き上げられた語句で、描き出される。
じっくり読んでいて、いい文章だと思う。これから飛び立つ飛行機は、次のように登場する。和訳してみる。
輝く鉄板、汚れ油のないエンジン。飛行機は新しく見える。整備工たちが、発明家の指で触れる、精巧な計器類。いま、彼らは、整備された作品を離れる。
和訳すると、緊迫感が薄れるかもしれない。パイロットは、次のように描き出される。
パイロットは着る。厚手のセーター、スカーフ、革の飛行服、裏地の付いた長靴。
やはり、和訳では緊迫感が出ない。
原文のフランス語で読むと、説明抜きに名詞を羅列するところに、1910年代から1930年代にかけて盛んになったフランス詩の簡潔化や俳句ブームとのつながりを感じた。
また、サン=テグジュペリの文章の、近代的センス、いや現代でも光るセンスのよさも感じた。
透きとおるまで飛行機磨かれ闇の中 夏石番矢
参照
ランボーの4行詩と『メトロポリティック』
https://banyaarchives.seesaa.net/article/200610article_20.html
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