チュニジアの聖地(2) ケルアンの大モスク

ケルアン(Kairouan)は、イスラムが北アフリカを征服するさいの最初の拠点となった場所。イスラム四大聖地の一つ。






この古い都市に、アフリカ最初のモスクである、大モスク、別名ジェマ・シディ・オクバ(Jema Sidi Oqba)がある。このモスクは、西暦670年に創建された。日本では、天智天皇の没年の前年にあたり、創建当初の法隆寺が全焼した年。






大モスクに入ると、広い中庭に出る。何もない空間。この「無」がすがすがしい。

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    アラベスク純白の無を呼んでいる  夏石番矢(『地球巡礼』)

大理石を敷き詰めた中庭の真ん中に、くぼみがある。このくぼみに変わった石組みがある。迷宮をかたどった石組み。この下に地下水路がある。このモスクを訪れた信者が、そばの井戸から汲んできた水で禊をして、汚れを流しこむ施設。

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こういう中庭を、円柱の並ぶ回廊が四方から取り囲み、中庭の中心には、泉か井戸があるのが、立派なイスラム建築物の基本構造。ケルアンの大モスクの場合、井戸は、中庭の真ん中ではなくて、南端の礼拝所の近くにある。

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このような庭を、内庭回廊(英語でcloister、フランス語でcloître。囲い地という意味)として、ヨーロッパは、教会、城、そしてとくに修道院で模倣した。
ヨーロッパの内庭回廊には、天への回路などないものが多く、明るい庭になっていればまだいいほうで、回廊の床や壁に石棺を埋め込んだりしてあって、うっとおしいところも少なくない。英語で、内庭回廊(cloister)は、修道院を指し、隠遁生活さえ指す。

これとは対照的に、イスラムの中庭、とくにモスクの中庭は、すがすがしい。死体などないだろう。

のちに知り合った、モロッコの詩人モハメッド・ベニス(Mohammed Bennis)

http://www.worldhaiku.net/poetry/fr/m.bennis/m.bennis.htm

に、このことを尋ねると、モスクの中庭の中心の泉や井戸から、天に通じる回路がある、と答えてくれた。なるほど、天への回路があるから、すがすがしいのだ。

    井戸より天へ我より君への透明動脈  夏石番矢

この記事へのコメント

  • 風花

    どこの国でも、礼拝を行う場所は敬虔な気持ちになりますね!
    2007年01月12日 07:40
  • ラララ

    私は神社の広い庭とそれをとりまく木々が好きですが、この写真の青空もいいなと思いました。
    2007年01月14日 15:47
  • Fujimi

    10年前を、ようやく思い出して記事を書きました。ケルアン巡礼記「チュニジアの聖地(5)」には、落ちが待っています。
    2007年01月14日 15:53

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北アフリカへ寄稿
Excerpt: アルジェリアの Reda Mehafdi (男)さんから、英語かフランス語で、俳句、略歴、そして写真を送ってくれとのメールが到着したので、送った。
Weblog: Ban'ya
Tracked: 2008-02-13 21:04