淳心学院の思い出(1) 福本先生の名朗読

相生市に生まれ育った私は、中学・高校は、姫路市の淳心学院に、電車で通った。この母校は、姫路城がよく見える場所にあった。






淳心学院
http://www.junshin.ed.jp/

一学年120名という規模のせいか、わが母校の卒業生には、淳心フェチが少なくなく、淳心大辞典というサイトまである。

http://ha2.seikyou.ne.jp/home/wadashin/hyoushi.htm
上の表紙には、リンクがありません。
淳心大辞典 あ行
http://ha2.seikyou.ne.jp/home/wadashin/jg.a.htm
福本先生
http://ha2.seikyou.ne.jp/home/wadashin/jg.h.htm

そこに登場する「福本先生」に、この8月、「しめやかにわがうぶすなへ冬の旅」の色紙(冬の旅 https://banyaarchives.seesaa.net/article/200611article_13.html 参照)を、定年退職のお祝いとして、お送りした。
福本泰雅先生は、早稲田大学時代には小説家にあこがれ、いまは白泡の俳号を持つ俳人で、水原秋桜子系。また、旧姓は、志水。姫路の福本家へ婿養子に入られた。
福本先生のご自宅には、水原秋桜子の色紙と私のこの色紙が並べて飾られてあるそうだ。

思い返せば、ずいぶんユニークな先生や生徒がいたものだ。
淳心学院卒業生かつ教員であった福本先生も、その一人。J1(中1)とS6(高3)のときの私の担任でもある。先生は、私の人生にはっきりと足跡を残している。

私は、相生市立双葉小学校から、隣の市立双葉中学校に進むつもりでいたが、小学6年生の秋から、急に淳心学院中学を受験することに決め、二番目の姉の特訓を受けて、見事合格した。
当時、兵庫県の公立中学生は、頭髪は丸坊主にしなければならず、それがいやで、淳心を受験したのだった。
淳心学院中学に入学したての写真が、アルバムに残っている。頭髪を、坊ちゃん刈りから、七三分けへ変えようとしていたことが見て取れる。

画像


入学当初から、福本先生とは縁があったらしく、入学式の当日、スリッパを上級生に盗まれ、担任の福本先生に、他の生徒が下校しているとき、その事をおずおずと報告しにいった。

福本先生の担当は、現代国語。教科書掲載のさまざまな文学作品の名朗読で、生徒の人気者だった。
宮沢賢治の「よたかの星」の朗読は、近年の同窓会でも話題になる。「よたか」が昇天して星になる感動的な一節を、ものの見事に、生徒から見て、漫画的に声を張り上げて読む。これを、茶目っ気のある同級生たちが、さらに漫画的に誇張する。

人によっては涙を流す、宮沢賢治の感動的な一節が、福本先生のユニークな朗読と人柄にしっかり密着して、私を含めた淳心学院第15回生(1968年入学)の記憶に焼きついている。こういう妙なかたちだが、「よたかの星」が忘れられない。作者、宮沢賢治が、このことを知っても怒らないだろう。

朗読は、国内では、まだまだためらいがちに行われているにすぎないが、海外の国際詩祭では、参加者が必ず行い、居合わせた世界の詩人に、自分をアピールする絶好の機会。

海外の詩祭で、私が意外に俳句や詩の朗読がのびのびできるのは、きっと福本先生のおかげにちがいない。

こういう記事をブログに書く私も、きっと淳心フェチなのだろう。

    よたかの星へおさなき笑い声響く    夏石番矢

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