途中、山口県で雪が降り、とても寒い取材旅行だった。
TV番組は、2001年の3月に放送され、その後、たびたび再放送された。
この再放送が、私の病欠中だったので、乾教授仮病説が、勤務先の明治大学でささやかれた。
それはともかく、番組には盛り込まれなかった、意外な発見を紹介しておきたい。
1 山頭火の父、種田竹治郎は、自由民権運動に関っていた。
2 渥美清は、山頭火が出家した熊本市のお寺、報恩寺に、ときどき顔を出しており、寅さんの役作りには、山頭火が裏にある。
報恩寺
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3 報恩寺の和尚、望月義庵は、寺でドイツ語の読書会を開いており、山頭火は出席していた。これは、山頭火が、市電の前で仁王立ちして自殺しようとして、助けられたさい、はじめて報恩寺に連れてこられたという通説を否定する。
4 山頭火は出家するとき、離婚した妻、サキノに聖書を渡した。
5 山頭火の一人息子、種田健は、山頭火ブームによって印税が入り、晩年は酒に溺れた。
山頭火という人には、まだまだ謎の部分が多いが、関係者は他界するか、高齢化している。
また、この番組を担当したNHK山口のJ・Sさんも、その後NHKを退社した。
余談だが、防府天満宮で、竹下景子さんが、中学受験の息子さんのために、絵馬を奉納されていたことも、なつかしい思い出。
この取材旅行のときに生まれた句が、『夏石番矢全句集 越境紀行』(沖積舎、2001年)収録の第10句集『漂流』の最後に置かれている。
枯草に眠っているのか山頭火
どろどろぼろぼろの日々水がうまい
渡り蟹まっかに焼けて山頭火
別れた妻に聖書を渡して山に籠る
寒い山を夕日が飾り観世音
山頭火永遠の留守ゆきがふる 夏石番矢
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